サウジツアーは、1999年から2000年にかけて始まった新しいサイクルロードレースです。2021年大会はキャンセルとなってしまいましたが、ASO主催で新たに始まった中東レースといった位置づけです。2020年大会では横風による分断冬ボーナスタイムで緊張感ある総合争いが展開されました。最終日のスプリント勝負で周囲のナセル・ブアニを下したバウハウスが逆転で優勝しました。

サウジツアー・ロードレース

アラビア半島の大部分を占める砂漠地域の国、サウジアラビアを舞台に5日間で競争は行われます。2020年はサイード国王が亡くなったことによりツアーオブオマーンがキャンセルとなり、カテゴリーはUCI1クラスながら多くの有力なチームが参加しました。

超高層ビルがそびえ立つ首都リアドを中心に、郊外の砂漠地域や古城を巡るユニークなコースです。登りフィニッシュの初日を除いてスプリンター向けの平坦ステージが中心になります。砂漠地域特有の強風が吹きつける中で、全ステージを通してボーナスタイムの総合成績争いが絡み合った、緊張感の高いレース展開が魅力です。

バーレーン・マクラーレン・UAEチームエミレーツ・NTTプロサイクリング・アスタナを筆頭にたくさんのプロチームが参加し、アマチュアも合わせれば全19チームが参加しました。

初日は横風で多くの選手が苦戦し、激しい位置取りの中からクラッシュも発生します。先頭集団は逃げましたが残り20キロメートル地点で集団に吸収されます。そこからカウンターで飛び出した選手も最後の登坂で捕まり、コスタがステージ優勝を成し遂げたのが1日目の結果です。

翌日の第二ステージでは終盤に発生した落車で有力選手が遅れをとる一方、残り1キロメートルからハウッスラーが先行します。そこに飛びついて残り500メートルから独走に持ち込んだボニファツィオが集団を振り切って、その期の初勝利をあげました。

最終日のスタート時点で1位と2位の差はわずかです。逃げグループが先行に成功したことで途中に用意された中間スプリント争いは避けられ、予定通りに迎えた集団スプリントでブアニとバウハウスの直接対決が繰り広げられました。マクラーレンは完璧なリードアウトでバウハウスを発射し、背後から並びかけたブアニもうまくブロックして25歳のジャーマンスプリンターがステージ2勝目と逆転総合優勝を決めます。最後は見ごたえのあるスプリントになり、観客も大満足です。ステージレースで総合優勝をするのがはじめての経験だったバウハウスは、パンクなどのトラブルにもめげずチームとともに勝利の美酒に酔いました。